Webディレクターの仕事は大きく分ければ2つだけ
路線変更、一発目。
そもそもWebサイト制作におけるディレクターの役目とは何か。
ビジネスとしてWebサイトを作ることを考えると、
企画・構成、デザイン、ライティング、コーディング、システム開発、予算確保、人員調整、スケジュール管理、契約、法務処理、素材の手配、検証、納品、公開、効果測定、etc.
と、様々な作業を行う必要があります。
これらの内、Webディレクターが行うべき作業は何かというと、その定義は所属する組織・チームによってバラバラです。
- 営業系
- 企画系
- デザイン系
- システム系
- 進行管理系
上記のように、様々なタイプのディレクターがいて、各々の得意・不得意で作業範囲が決まっています。
が、しかし。
私の経験上、どのタイプのディレクターであったとしても、やるべき仕事は大きく分けると2つだけです。
すなわち…
- 他者に作業を依頼すること
- 他者に依頼しなかった作業のすべて
これがWebディレクターのやるべき仕事です。
自分は営業系のディレクターでシステム開発を行うスキルがなかったとしても、SEをアサインしていなければディレクターがなんとかするのです(知識もなしにプログラムを組む無謀なディレクターはいない…と、思いたいのですが。喩えです)。
よく求人募集などで『ディレクターは自分でサイト制作ができなくても、未経験でも活躍できます』的な文章を見かけますが、それは自分にできない作業を他者にお願いするのがディレクターの役割だからです(「できなくて”も”いい」を「できなくていい」と混同しているパターンをよく見かけますが…)。
また、ここで言う他者とは自社内に限った話ではありません。
例えば、サイトで使用する素材をクライアントに用意してもらう必要があったとしても、手配依頼をしていなければ、それもディレクターがなんとかします。
得てして、世のWebディレクターたちは予算とスケジュールと人員不足とクライアントのITリテラシーに悩まされ、知恵と勇気と自分の睡眠時間を使ってWebサイトを作り上げていくのです。
仮に全ての作業(公開後や運用も含めて)を他者に依頼することができたとしたら、もう、それ以降ディレクターはふんぞり返っているだけで良いと思うのですが、残念ながら現実的にそれは起こりえません。
//以上
路線変更
数字の3は古来よりも神秘の数字とされてきました。
本ブログもその3の魔力にとらわれ、3冊目の本の紹介をする前に本構成を変更することにしました。
文章の練習のために…と始めたブログですが、練習以前に書く内容がなんだかすんなりいかない。
1つの記事を書くのにとても時間がかかる。
その割に内容が薄い。
と、いうことで、自分がもっとすらすら思ったことを素直に書けることは何かと考え
このブログのタイトルを
『Webディレクターの徒然なる読書記録』から
『Webディレクターの現場の声』に変更しました。
読んだ本の紹介ではなく、Webサイト制作のディレクションをしていく中で、あの時読んだあの事が役に立った的な知識のアウトプットの場としていきたいと思います。
本縛りではなく、Webディレクションについてや業界の愚痴やなんやらを書き綴りつつ、文章技術の上達を目指します。
さらに、ここでいう文章力とは繊細な心理描写や風景が脳裏に再生される緻密な描写ではなく、なんとなく面白オカシイ、ユーモアセンスのことを指します。
基本方針はこのブログを開設時に書いた所信表明から大きく変わるものではありませんが、本の宣伝ありきな記事から、もう少し世のため人のためになるアウトプットになるよう路線を修正したいと思います。
//以上
脱・犬の道:イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」
書評2回目は私が社会人になってから読んだ本で、特に役に立ったと感じた1冊です。
著者 :安宅和人
発行所:英治出版
発行日:2010年12月11日第1版発行
こんな方にオススメ!!
- 同期入社に差をつけたい入社2~3年目くらいまでの新社会人
- 企画書の作成スピードを上げたい人
- コンサルタント的な論理的思考を身につけたい人
本書の概要
著者の安宅さんは経営コンサルティング会社マッキンゼーでコンサルタントとして勤め、その後米国のイェール大学で脳科学について学び、帰国後は日本のヤフーに転職という経歴。
コンサルタント、脳研究者という経験から会得された、生産性を圧倒的に高める物事の考え方、問題可決の方法について記されています。
タイトルにあるイシューとは
「2つ以上の集団の間で決着のついていない問題」であり「根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題」の両方の条件を満たすものがイシューとなる
と、著者は定義されています。
企画や課題、問題について考えるとき、それらの解決策について頭を悩ますことに時間をかける人が多いですが、その前にあなたを悩ませているその問題は本当に解決する価値がありますか?
そもそも、今目の前にある問題が適切か、間違っていないか、そこから疑っていくことをスタートにする(イシューからはじめる)ことで価値のある結果をハイスピードで叩き出すことができるようになりますよ、という内容が書かれています。
フジテレビ版の旧HUNTER×HUTERアニメオリジナルエピソード軍艦島の『城から逃げるのではなく、城ごと逃げる』的な解決すべき問題の本質を掴み、最短距離でゴールへ行きましょう、という感じです。
犬の道から抜け出す方法
仕事をしていると、日々、解決しなければならない無数の問題に追われることになるかと思います。
その際、一心不乱に大量の仕事をこなし、知的生産性を高めず根性に逃げることを本書では『犬の道』と呼んでいます。
この犬の道を避けるには
- イシュー度が高い問題に取り組み
- 解の質(イシューに対してどこまで明確に答えを出せるかの度合)を高める
上記の2点を満たした仕事を(本書ではバリューのある仕事と呼んでいます)を優先的に経験していくことで圧倒的な生産性を得ることができるのです。
犬の道を行く根性に逃げる人は労働者(拘束時間に対して給料をもらっている)。
真のビジネスパーソンとは労働時間に関わらず仕事の成果に対しての報酬をもらっている人のことを指すのです。
確かに多くの経験を積めばある程度の実力はつくかと思います。
しかし、「新人はまず量をこなすべきだ」こういう考え方の人に対して本書は
うさぎ跳びを繰り返してもイチロー選手にはなれない。「正しい問題」に集中した、「正しい訓練」が成長に向けたカギになる。
と、返しています。
回転数とスピードを重視する
本書では上記犬の道を抜け出すべく思考方法について様々なフレームワークや分析方法が紹介されています。
その中でも、特に私が実際の仕事で活用し有用だと感じたのが
停滞を引き起こす要因として、最初に挙げられるのが「丁寧にやり過ぎる」ことだ。(中略)「60%の完成度の分析を70%にする」ためにはそれまでの倍の時間がかかる。(中略)一方で、60%の完成度の状態で再度はじめから見直し、もう一度検証のサイクルを回すことで、「80%の完成度にする半分の時間」で「80%を超える完成度」に到達する。単に丁寧にやっていると、スピードだけでなく完成度まで落ちてしまうのだ。
私自身Webディレクターとして企画書を作成することがよくありましたが、特にこの一つの資料を完成させるまでの回転数を上げるということが実践で一番役に立ちました。
…第1回目のレビューで見切り発車のPDCAサイクルを嘆いていた気もしますが、個人の作業として行う場合はこの方法はとても有効です。
その他、個人的な感想
この手の本は読者によって、あう・あわないがあるかと思います。
本書は私がまさに犬の道に踏み込んでいた時に出会い、本書に倣って自分の作業を改善したところ、目覚ましい成果を出すことができたため愛読の一冊となりました。
他にもマッキンゼー出身の方が書かれたビジネス書を何冊か読みましたが、問題解決の方法について書かれた本は、切り口は違えど、どれも本書と似通った内容になっています(「空・傘・雨」「フェルミ推定」「MECE」「チャートの書き方」等)。
本書がそれらの元祖というわけではないのですが、読んでいて一番自分にしっくりきた本がこの「イシューからはじめよ」でした。
ビジネス書というのは先達が長い時間をかけて手に入れた奥義を一般向けに公開してくれているもので、この『素直に受け入れらる』かどうかで本の効果が大きく違ってくるかと思います。
余談ですが、ページ上部の本書の画像は真っ白な表紙に黒い文字でタイトルが書かれていますが、実際に本屋さんに並んでいる本は表紙の半分近くまで高さのある黒い帯がついています。
縦に白と黒半々のデザインなのですが、最近このレイアウトの表紙の本をよく見かける気がします。何かの流行なのでしょうか…
//以上
書評ブログ記事で改善すべき8点:第1回レビューの反省点
記念すべき1回目の書評を書いてみたものの、書いている最中から改善すべき点がいくつも見えてきました。
1日たって冷静な目で見直して、第1回目のレビューのセルフ反省を行います。
1.ブログ記事のターゲットが明確になっていない
ワールドワイドに公開している以上、読者(ターゲット)を想定して記事を書くべきだった。
そもそも、このブログのターゲット読者層も不明確。
『リーダーになる人に知っておいてほしいことⅡ』のレビュー記事であれば
- 20代のビジネスパーソン
- Webサイト制作者
など、簡単にでもいいので具体的に想定するべきだった。
ターゲットが不明な企画が後輩から上がってきたら、即リテイクを出していたと思う…
2.ブログの目的、ユーザにとってのメリットを明示していない
自分自身の書く力の向上、備忘録を目的としているブログとはいえ、読者にとってもメリットがなければ読んでくれる人はいないだろう。
こんな企画が営業から上がってきたら、クライアントはそうしたいのかもしれないけど、ユーザにメリットがないじゃないと、即リテイクを…以下略
読者にとって書評を読むメリットは
- 購入を迷っている商品の見極め
- 気になる本の概要をつかむ
- 自分が知らなかった本に出会う
などでしょうか。
3.文字が読みづらい、文字サイズが小さい
ブログ立ち上げ時のデザインはポップでかわいらしいデザインに手書き風フォントを使用していた。
ブログの雰囲気はかわいらしくまとまっていたが、紹介している内容がビジネス書とコンテンツ内容と乖離があった。
こんな見た目重視でユーザビリティを無視したデザインがデザイナーから上がってきたら…以下略
文字サイズに関しては1回目の書評記事で既に変更しているため最初の記事「このブログについて」とフォントサイズが異なります。
4.記事の作成に時間をかけすぎている
レビューを書くのにかけた時間、なんとなんと驚きの3時間です。
何分で仕上げようという時間管理をせずに、ダラダラと書いていていました。
時間の大半は本文というよりも上述の通り、デザイン性重視のテンプレートを使っていたので、HTMLを編集して改善を試みたのですが、結局テンプレートデザインを変えたため水泡に帰しました。
こんな生産性の低い作業をコーダーが行っていたら…以下略
5.事前の計画が練られていない
上記1~4はいずれも事前の計画不足が原因。
Plan→Do→Check(study)→actのサイクルを回すことが大事ということで、さっそく自省しているところです。
PDCAサイクルを回すことが大事とはさんざん言われていますが、現場ではこのサイクルがPlanから始まることは稀な気がします。
Idea→Do→Do!→ドゥー!!→Check→まさかのReset→ようやくPlan→…
Planが出てくるの2巡目の世界からなのだよ…
しかも、アイデアの前にジャストがつくこともしばしば。
もう、記事作成に着手していてHTMLをいじっていたのに、やっぱりデザインが気に入らないから変更してなんてクライアントから言われた…
6.そもそもコンテンツ内容がつまらない
これもターゲットと目的が明確でないから玉虫色の記事になってしまった感があります。
誹謗中書・公序良俗に反する内容でなければ個人の意見なんだから批判覚悟でもっと尖った内容にしても良かった。
こんな無難な記事がライターから提出されたら別の人を探していたことでしょう。
7.アクセス数が少ない
これはまだ始めたばかりなので仕方がないが、まさかPV数7とは…
こんな数字をプランナーに見せられたら、クライアントに出せるわけないだろうと一括です。
私はコーダーからディレクターになった身なので、SEO対策はコンテンツの内容やマークアップ、メタの設定、SNSとの連携を適切に行えば十分という考えが強くありました。
適切な作法で作られたWebサイトにはSEO対策ってそんなに必要ないとも思っていました。
しかし、ほっといても人が集まる知名度のある企業サイトと、無名の個人の趣味ブログでは考え方を変える必要があるかもしれません。
SEO対策は今後も継続して検討する課題とします。
8.はてなブログの使い方がよくわかっていなかった
初めて使用するので、機能を使いきれていない気がします。
見たまま編集すると普通にEnterキーで改行するとソース上は空の<p>タグが挿入されるとは…
通常の改行はShift+Enterなのですね。
などなど、改善すべき点は他にも多々あるはずですが、まずは1回目の反省はこんなところで。
これらの反省は次回以降に活かしつつ、書き終わった書評は自分の成長過程を確認するため間違った情報がない限り、原則変更は加えないようにしようと思います。
//以上
リーダーになる人に知っておいてほしいことⅡ
(2013.11.11)
記念すべき1回目の書評。
どの本にしようか迷いましたが、ブログを開設するきっかけにもなったこの本にします。
述者:松下幸之助 編集:松下政経塾 発行所:株式会社PHP研究所
2010年7月2日第1版第1刷発行
本書の概要
経営の神様・松下幸之助さんの松下政経塾でのスピーチをせっせと文字におこした本です(口述以外の塾報に掲載された文章等も少しあります)。
- 学び方
- 考え方
- 働き方
- 生き方
の4つのテーマについて計47の含蓄に富んだお言葉が掲載されています。
…時代的にカセットテープからだと思うのですが、劣化していなかったのでしょうか。文字おこしをしてくださった方、ご苦労様です。
松下氏の思うリーダーになる人に知っておいてほしいこと(まさにタイトルまま)が綴られています。
昨今流行りのコーチングやNLPのようなスキルの技術書ではなく、リーダーたる者どうあるべきかを説いた精神論的な本です。
松下政経塾という場で語られた言葉故に、将来国を背負って立つ人へ向けられたメッセージが多いのですが、組織規模の大小に関わらずリーダーを目指す人に須く役に立つ本です。
個人的な感想
流行り廃りのある技術ではなく、精神論的な内容のため、私が生まれる前の1980年代前半のスピーチが中心にもかかわらず、2013年の現代でも、ものぐさな私にこのブログを開設させるだけの力強さを秘めていたのでしょう。
個人的に本書からは松下さん自身は下から持ち上げるボトムアップ型のリーダーという印象を受けました。
しかし、本書に書かれている内容は人の上に立つ、先頭に立ってみんなを引っ張っていくトップダウン型のリーダーに向けた言葉のように感じました。
Webディレクターから視た本書
経営者や政治家と比べれば小規模ですが、Webディレクターも一応人をまとめる仕事ということで、そんな私が本書の中でも特に印象に残った2点を紹介します。
今は昔に比べ、広告の技術もうまくなったけど、社会情勢に甘える広告も多いな。その場だけ面白いけど、商品のことはようわからんような広告は、十分とはいえん。内容が知らず識らずのうちに、その人のためになるような広告、社会や人心を健全にする広告はええな。
(P72 商品と広告宣伝より引用)
心の底から同意、また感銘を受けました。
なぜ、30年以上も前から経営の神様が言っている言葉が未だに浸透していないのか。
サイトを作るとき、クライアント、プロデューサー、営業さんと『イヤ、この企画意味わかんないッス。作ってる側がわかってないのにユーザーに伝わるワケが…』『金のためだ、黙って作レッ‼!』というやり取りを何度したことか。
クライアント側も製品やサービスを開発した人は、世のため人のために魂を込めているのでしょうが、その商品が広告(Webサイト含む)になるまでにいろんな壁が立ち塞がって消化不良を起こした経験が私にもあります。
このブログを書こうと思ったきっかけも、自分の文章力のアップを期待してというのもありますが、自分のインプットを世間にアウトプットして少しでも誰かの役に立てればみんな幸せ、と思って始めた次第です。
十人なり人をおいたならば苦労は少なくなってくる。みんなが代わってやってくれるのやから、自分は何もせんでええだろうと思うたらたいへんな間違いで、一人でも社員が多くなれば苦労が多くなるわけや。~(中略)~「承知した」と言うても、言うた以上はやろうと思ってやっても、腕が足らんでスカタンするという場合がある。その結果はみな店主の上にかかってくるわけや。(P76 社会通念という義務より引用)
こちらもIT界隈の人にとってはあるあるではないでしょうか。
『クライアントのデザイン確認に時間がかかっていて、制作期間がスケジュールより短くなっちゃうんだけど、人増やせばダイジョーブだよね?』みたいなことを何度言われたことか。
いや、人数の帳尻だけ合わせても…増やせるならプロジェクト立ち上げ時から入れてくれれば…
などなど、心に刺さる教えが掲載されています。
本文は約120P程度で文字量は少なめ、2時間もあれば読み終わってしまうかと思うので通勤時間の合間にもオススメです。
備考
ちなみに、~知っておいてほしいことⅡというからにはⅠもあるのでしょうが残念ながらこちらは未読です。
しかも、楽天のサイトを見ると大好評「知っておいてほしいこと」シリーズ第4弾とあります。
数字が合わない気がするのですが、『知っておいてほしいこと/ZERO』とか『知っておいてほしいこと(北米版)』とかがあるんですかねぇ。。。
記念すべき1回目のレビューですが反省点が多い。
反省は別途まとめることとします。
//以上
このブログについて
2013年11月10日(日)より本ブログの記録をスタートします。
ブログの内容は主に以下の2つ
・読んだ本のレビュー(ビジネス,自己啓発,IT関連,小説,その他諸々)
・インターネット関連のあれこれ(特にWebサイト制作)
・その他、心に映りゆく由無し事
…などを、そこはかとなく書きつくる予定です。
私(筆者)について
・20代後半の会社員
・職業はWebサイトの制作・ディレクター(かなりハード)
・趣味・特技なし(絶賛募集中)
ブログ開設のきっかけ
故あって現在、仕事を休職中です。
急に時間ができたのでいろいろな本を読み漁っております。
せっかくインプットが増えたので、読書感想文をワールドワイドに展開し、文章力等々の研鑽・アウトプットの場としたく始めた次第です。
私の拙い文章や浅い理解に、国際規格よりも厳しいと噂のネット界から批判・反論は覚悟の上です。
誹謗中傷は避けたいところですが、そもそも誹謗中傷されるほどのアクセスがあるのかということに戦々恐々です。
//以上