Webディレクターの現場の声

私がWebディレクターになって学んだこと、その他心に映りゆく由無し事 …などを、そこはかとなく書き綴ります。

3C分析 : 誰にとっての問題かを考える

企画書などでよく見かける『3C分析』。

Customer(顧客)・Company(自社)・Competitor(競合)の頭文字をとって3C。

マーケティングの3Cと呼ばれることもあります。

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コトバンクによると以下のように定義されています。

自社や事業部等がどのような経営環境に置かれているのか現状を状況を分析し経営課題発見、戦略代替案の発想などに活用するフレームワークである。
例えば、Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)の外部環境分析から、その事業でのビジネスのKSF(key success factorの略 成功要因)を発見し、続いてCompany(自社)分析によって自社の現状とKSFとのギャップを捉えて戦略を策定し、主にマーケティング分野等で活用されていたものが広く経営分析ツールとして広がった。

 

自社の経営環境を分析するためのに使われることが多いため、上図のようなイメージ図がよく使われますが、特定の問題を3つの視点から考察する―その問題が『誰にとっての問題か』を考えるという意味では下図のイメージでも良いと思います。

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3C分析が役に立つのは何も企業活動だけではありません。

ある問題を3つの立場・視点から分析する手法ととらえれば連日連夜の残業に悩むWebディレクターの問題にも応用可能です。

 

Web制作会社は2極化していて「一芸特価系」か、安い・早い・遅い(退社時間が)「ガテン系」のどちらかに偏りつつあります。

 

私は当然のごとくガテン系Webディレクターだったのですが、とかく残業・徹夜が続くと心が荒み『何でこんなに残業しなければいけないんだ。誰が悪い?会社だ、会社のせいだ、上司が無能なせいだ、経営者に搾取されているんだ』とよくダークサイドに落ちていました。

 

が、しかし。

残業という問題を3C分析を使って分析することにより、別の視点を得ることができ、少しだけ心の清らかさを回復することができるようになりました。

 

まず、残業という問題に対して、自社を自分自身(Webディレクター)、競合を同僚(SE/プログラマー)、顧客を上司(プロデューサー)に置き換えます。

 

すると、同僚のSE/プログラマーの残業理由は「定時後の作業依頼が多い」「仕様変更が多い」ことが理由であることがわかりました。

これはディレクターである自分自身のヒアリング不足、情報共有不足、スケジューリング能力の低さが大きく関わっています。

 

また、プロデューサーが遅くまで残っているのは、責任者として作業が終わるのを見届けなければならず、部下の仕事が終わるのを待っていたからでした。f:id:jyuaei:20131206131421g:plain

このように視点を変えて考えると「残業が多い→会社が悪い」という短絡的な考えから、「残業が多い→でも、隣の人が残業時間は自分の努力で減らせるかも…」というLet's Go社畜的な思考を得ることができるのです。

 

なお、上記の話はフィクションであり分析したところで残業時間が減るほど世の中甘いものではありませんでした。

問題を定義する : 現在の状態とあるべき姿の差異

フレームワークは問題解決によく使われますが、そもそも『問題』とは何かを定義したいと思います。

 

残業が多い、痩せなければ、お金がない…etc.

いっけん『問題』のように見えるこれらは、ただのお悩み・願望であって『問題』ではありません。

 

では、『問題』とは何か?

それすなわち、現在の状態と理想(あるべき姿)との差異。

そのギャップこそが『問題』です。

 

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  • 理想の状態(あるべき姿) - 現在の状態 = 問題
  • 理想の退社時間(キラキラ20時) - 現在の退社時間(ブラック24時) = 4時間の超過労働
  • スリムな私(48kg) - 現在の私(58kg) =10kgの体重超過
  • 理想の貯金額(∞) - 現在の貯金(⊿x(x→0)) = この世の全てが欲しい

 

残業が多いことが問題なのではなく、4時間の超過労働が問題。

この理想と現実のギャップを具体的に把握することで、初めて『問題』になります。

 

当たり前のことを書いているようですが、

『残業が多い』というザックリとした問題が『1日の勤労時間を4時間短縮する』という具体的な課題に置き換わるだけでグッと解決しやすくなります。

 

こうして定義された問題をさらに自分に解決できるレベルまで分解したり、誰の問題かを考えていくこと、その考え方・手段が個々のフレームになります。

分析とは : 対象物を比較し違いを見ること

フレームワークには3C分析、SWOT分析、PEST分析など『分析』とつくものが多くあります。

 

個々のフレームワークを収集する前にまず『分析』とは何かを定義したいと思います。

 

これは、以前ブログに書いた書籍『イシューからはじめよ [ 安宅和人 ]』内の表現が個人的に腑に落ちているので紹介します。

 

「分析とは比較、すなわち比べること」というものだ。分析と言われるものに共通するのは、フェアに対象同士を比べ、その違いを見ることだ。(中略)どのような軸で何と何を比べるのか、どのように条件の仕分けを行うのか、これを考えることが分析設計の本質だ。

 

例えば以下のようなに比較して差異や共通点を見つけるイメージです。

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分析の切り口や条件を変えることで、冒頭に書いたそれぞれの分析のフレームワークになります。

そして、この分析の切り口を考える際には、MECEを用いると効果的です。

5W2H : 言われたことよりも言われてないことに気を付ける

机の整理法やパソコンのショートカットは収集するフレームワークに含めない。

と、しておきながら、新人研修で習うような5W2Hをカウントするか悩みましたが、含めます。

自分が書きたいものから進めていく方針です。

 

さて、「5W2Hとは何か?」と問われて「コレだ!」と簡潔な単語に置き換えるのはなかなかに難しい。

物事を見るとき、考えるときに使う7つの視点・切り口と言ったところでしょうか。

何かと問われれば、下の表の単語の頭文字からWが5つ、Hが2つで5W2H。

 

Why なぜ? 目的は?
What 何を? 何を行うのか?
When いつ? いつまでに?期間・期限は?
Who 誰? 誰が行うのか?誰と行うのか?
Where どこで? 場所は?
How どのように? 手段・方法は?
How much /
How many
どれくらい? いくらで?

 

 

新入社員が上司や先輩に報告連絡相談をする時に『5W2Hをはっきりさせろっ!!』と怒られる、アレです。

 

私の経験上、自分から相手へ何かを伝える場合に、この5W2Hを明確にしろと指導されることが多いように感じます。

 

当然、その時にも役に立つのですが…

むしろ、相手が自分に対して情報を伝える際に心得ておくと効果的な考え方です。

 

なぜならば、ビジネスの相手(クライアントや上司や同僚)からの依頼は、たいがいクッキーを作るときの粉の混ぜ加減が如くザックリしています。そして理不尽です。

 

『アレやっといて、明日まで』とか。

『前回と同じくらいの予算と期間でお願いします』とか。

 

日本では偉い人、立場が上の人ほど、このザックリ依頼を多用し、不明点は察して善きに計らえという商慣習がまかり通っています。

そのたびに作った笑顔で『かしこまりました。明日MM月DD日の午前XX:XXまでに○○○(何)を●●●(場所)にご用意いたします』と自分で不足要素を補完しなければいけないのです。

 

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特に上司から部下へ依頼する際に「Why(なぜ?・目的は?)」の部分が省略されます。

何でやるのかよくわからないけど、とりあえず頼まれたからやっておこう、というスタンスで仕事をしていると依頼者も作業者も不幸になります。

 

いやいや、依頼する側がちゃんと必要事項を全部伝えてくださいよという、もっともな意見は、なぜか通用しません。

聞かなかった自分が悪いということになってしまいます。

 

そこで『えー、聞いてないですよ』『言われてないからやってませーん』と返すと、めでたく「ゆとり」の烙印を押されてしまいます。

MECE : モレがなくダブりもない状態

フレームワーク1つめは『MECE(ミーシー、ミッシー)』

Mutually Exclusive、Collecticely Exhaustiveの略で日本語にすると『モレがなく、ダブりもない』。

 

図示すると、下のイメージ。

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ロジカルシンキングについて調べると、このMECEが必ず出てきます。

大抵のフレームワークは、大きな問題を小さく分解していく、マトリックスに分ける等、

検証可能なロジックまでダウンサイジングして物事を考察します。

そのため、まずは分解の基本のMECEについて理解する必要があるのでしょう。

 

ちなみにMECEではない状態の例を図示します。

 

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上図では「魚」と「淡水魚」がダブっています。

生態調査をする際に魚を調査する人と、淡水魚を調査する人がいたとしたら重複(無駄)が生じます。

 

また、欄外の両生類、爬虫類、昆虫などについての記載がなくモレがあります(ネス湖の生態は存じませんが仮にです)。

モレがある状態ではやはり調査は十分とは言えません。

 

さらに、図には「ネッシー」が含まれています。

MECEについて調べると重複・抜けについての説明ばかりが出てきたので、

それならば、前提条件に存在しないものを勝手に追加すれば、それはモレてもいないし、ダブってもいないはず!!

と、私がネス湖に住んでいて欲しいという期待を込めて勝手に追加しました。

 

MECEに分割する際、分解の切り口だけではなく、前提条件についても疑う必要があるだろうということでネッシーを追加してみました。

勝手に追加した区分は99%無駄な区分ですが、ネッシーは存在しないという前提条件の調査では1%の確率でいるかもしれないネッシーを発見できない≒イノベーションを起こせないではないかという、私の心の叫びです。ノット ロジカル。

 

 

…1個目のフレームワークはこんな感じです。

この調子では200個の道のりは果てしない。

 

ちなみに、一見officeで作ったかのような稚拙な図は地味にPhtoshopCS6で作っています。

最近自前のPCをWindows8 & Adobe Creative Suite 6 Production Premium(クラウドではない)を入れて気づいたのですが、PhtoshopCS6のゴシック体の標準フォントが小塚ゴシックになっていました。。。

私の中ではいまでにWindowsといえばMS Pゴシックかメイリオだったのですが。

時代はうつろうのですね。

 

フレームワークを集める(数値目標200件)

さて、Webディレクターを名乗る輩のブログに『フレームワーク』とあるので、グリッドシステムだったりphpとかJavaScriptフレームワークだと思った方、残念。

論理的思考の方のフレームワークです。

 

マーケティングの3Cとか、4つのPとか、ファイブフォースなどなど。

これらのフレームワーク(目標:200個)を集めるorオリジナルで編み出してみようと思います。

 

きっかけは勝間和代さんの勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力という本を読んだからです。

 

マッキンゼーのコンサルタントさんはフレームワークにはまっていない会話はわかりづらい、と口を聞いてもらえなくなってしまうそうな。

外資系、怖い。

 

フレームワークにはめた思考で会話ができるようになるには200個位の型を把握しておく必要があるらしい。

200個知っていても、それでもフレームワークにはまらない事象が世の中にはいくらでもある。

その時に自分が知っているフレームワークを超えて閃いたアイデアにこそ価値があると。

そのため、ベースとして過去の賢人たちに研鑽されてきた考え方をなるべく多く身につけなければならないのである、と。

 

ミーハーな私はこれを読んでなるほどと、簡単に感化されてしまいました。

 

が、しかし。

2,3個のフレームワークを紹介しているサイトはあっても、200個も集められたサイトは見つからない。

 

そこで。

コレクター魂に火が付いたので、勉強がてら自分で集めてみようと思います。

 

目標はマッキンゼーの人と会話ができるように200個。

結婚に大事な3つの袋とか、机の上の整理整頓方法とかパソコンのショートカットとかそういうのは含めません。

目標達成の期限は特に定めない。

 

達成するまでに何年かかることやら。。。

なぜ、あなたは面接で落とされるのか-社員から見た就活生

会社員である以上、ただWebサイトを作っているだけがWebディレクターの仕事ではありません。

 

事務作業や会社の委員会活動等、仕事以外の仕事もあります。

その中の一つに採用活動の面接官というものがあります。

 

私自身、就活中は何社も採用を断られ、祈られ四苦八苦していたのですが…

社会人になり、かつての自分と同じような就活生を見ていると、当時の自分がどうして面接で落とされたのかわかるようなりました。

 

端的に言うと…

準備不足

これに限ります。

 

今、就職活動に悩んでいる後輩のために私見を陳述奉ります。

 

慣れない面接の場に行くと緊張してしまうことがあると思います。

わかります。

私もガッチガチになっていたし、私が面接した学生も緊張している方がほとんどでした。

でも、別に緊張しているからってマイナス評価にはなりません。

 

緊張するとうまく話せなくて、頭の中が真っ白になってしまう方もいるでしょう。

言おうと思っていたことが全然言えなかった。上手く伝えられない、ということもあるでしょう。

わかります。

壊れるほど愛しても1/3も伝わらないのです。

でも、上手く話せなくたって良いのです。

 

問題なのは…

緊張しいで面接に行くと言いたいことの1/3も伝えられないとわかっているのに、100%伝ったとしてようやく面接を突破できる答えしか用意していないことです。

 

自分の考えを100%相手に伝えられるなんて人は、まずいないでしょう。

 

面接で緊張する人はきっと社会人になってからも緊張し続けます。

それは仕方がない。仕方がないけれど、仕事はしなければいけない。

体調が悪い日、気分が乗らない日、相手が不機嫌だったり理解力が低いことだってあります。

 

でも、仕事をするときは、それらを理由にして『上手く伝わりませんでした』では駄目なのです。

そういう人は面接で落とされます。

 

故に緊張して頭が真っ白になって、伝えたいことの1/3しか伝えられなかったとしても目的を達成できるよう、300%の答えを用意して挑まなければならないのです。

 

//以上